二次をつくる時の話

 べつに誰に聞かれたわけでもないのですが、わたしの二次小説のできかたを。
 個人サイトならなに載せても自由ですし。

 そもそも「書いている」という気はあまりしていません。
 たまに呟いていますが「出力型」だからです。

 ある作品があったとして、わたしが二次をつくる時は、
 大抵その中のコンビもしくはCPにはまった結果が多いです。
 推敲を話に落としこむタイプなので、作品内で出た情報の理由を考えます。
 比喩だとややこしいので、アンミナの拙作「腰を抱くよりも」を例にします。→Pixivリンク

 まず、腰を抱く例のスチルを見て「すごい自然に腰を抱くな……」と感心しました。
 それから、どうしてそれが当たり前なのか理由を考えはじめます。
 この場合、ゲームの仕様だからとかは考えません。それですませたらなにも発展しませんから。

 考察をはじめると暇さえあればしていますが、
 それらがまとまって答えが出るのは湯船に浸かっている時が多いです。
 リラックスして脳が整頓されるからだとか、ちゃんと説があるそうです。
 実際、箪笥の中にしまってあった諸々が、必要なものだけ出てきた感じになります。

 具体的には、

 ダンプ=スラム系、となると水商売の女性が多そう。
 ボス格であるシュリのお気に入りだと思われれば、虫除けになるのでは。
 手っ取り早くそう見せるためには、大通りを腰でも抱いて歩けばいい。
 だから腰を抱いて歩くのが当たり前。
 逆にアンジュは手を繋ぐだけでも恥ずかしい、なんて順番をたどっていったはず。
 お互いの感覚の差異、そしてすりあわせ。

 ……こんなふうです。
 はじめに浮かぶのは腰を抱くのが自然な理由=水商売の女性を守るため、です。
 そこから、数学の逆解答のように、答えが自然になるために、
 途中の式ならぬ理由を積み重ねていくわけです。

 あらかたできたら脳内で影絵の芝居がはじまります。
 相貌失認なので脳内で映像はつくれません。
 書いている今もシュリの顔もアンジュの服も浮かびません。
 ただ、色が特徴的なのでそこはなんとか浮かぶ……ような駄目なような……
 ちなみに服もうまくいきません。
 なので、普段は映像より記号化しています。
 アンジュなら髪:ピンク 目:蒼 服装:ピンク系ワンピース ……という具合です。

 そんな脳内のため、全部白黒の影絵になるのです。
 シルエットもほとんどない棒人間っぽい。
 無声映画か講談のような感じで、枠外から科白や地の文が流れていきます。
 脳内なので、積み重ねた理由に沿う言動を考えているのは間違いなくわたしですが、
 自分の中では「見て」いるほうが近い感触です。
 こちらが指図することはできないので。いや自分の脳内劇場なのに? と我ながら思いますが。

 これを何度も繰り返して、最後まで展開が決まったら、
 あとはそれを文章として表に出します。
 できあがっているものを形にするだけなので、書いているというより出力と表現します。

 なので意図しない話になることもないし、書いていて驚きもありません。
 脳内で積み立てている時にうまくはまって嬉しいことはありますが。
 萌えることもあまりないし、感動するかどうかもわかりません。
 なぜなら全部あるべき状態を文章に落としこんでいるだけだから。

 こういうスタイルなので、映像描写や色に関する部分が弱い自覚があります。
 考えている時にどちらもほとんど出てこないので……
 真面目に推敲する時は、まず色や情景をつけくわえて、
 また削ったり盛ったりしてちょうどいいくらいを模索していきます。
 表情などの描写も「こういうシーンでこういう感情の推移をたどっているのだから、この表情だろう」
 という組みたての結果であって、映像としては浮かんでいません。

 また影絵系というか二人の朗読会みたいな感じなので、
 大人数が出せない、三人称のほうが書きやすいのもそのためです。

 正直、こういう状態なので、自分の作品が面白いかがわかりません。
 最低限、他人が読んでもわかる文章にしてあるとは思いますが、
 自分の中では驚きもなにもないので、その手の判断ができないのです。

 じゃあどうして作品として表に出しているのかというと、脳の空き容量の問題です。
 つい考察してネタができてしまうと、それが脳のHDに書きこまれます。
 外部に出すまで、それは脳内に居続けるため、リソースをとられる状態になります。
 他の考察などをする時に、容量不足でうまくいかない感じになるのです。
 そこで外部に投稿という形をとることで、外部メモリに記録となり、脳のリソースに空きができます。
 なので気分的には自分自身がAIみたいな……?

 勿論、折角なので読んでもらいたい気持ちがあるので、Pixivなどに投稿するわけですが。
 昔、友人に「他人の感想を求めてない文章」と評されたのは、そういう理由なのかもしれない、
 と今さらながらに納得しています。

 ……でもそれでもやっぱり、ちょっとは感想ほしいと思っちゃいますが(笑
十六夜あき→Twitter

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